携帯電話の電源を切らねばならない, というのは世界共通でしょうか?
日本が逆に珍しい存在なのかな, と僕は思っています。どうなんでしょう。アメリカやドイツ, スイス, オランダ等ではみなさん普通に電車内で会話されていた印象です。
海外における模範英訳がないので, 日本独自の案内を世界標準にできるチャンスです。笑
文章そのものは全く問題がありません。
理由:
1 やって欲しいことが明確 (電源を切れ、詳細〜という語順)
2 文法的な誤りはない (上から目線ですみません)
さて, ここでは次のことを考えてみましょう。
1 いま, ケータイを複数台持っている人はどれくらいいるのでしょうか。
2 そもそも電源OFFにしなければいけない理由はなんでしょうか?
1 単数形? 複数形? ケータイを複数台持っている人の割合は2010年で約3割という調査結果がネット上にありました※。会社員の4割弱, 主婦・学生等の層で2割強とのこと。2010というと, まだスマートフォンが立ち上がり始めた時代。その時代からの複数台所有者の拡大・縮小はなかなか見えてこないですが, もし半数近くが2台以上の携帯電話を持つようなら, 新幹線のように複数形にすべきと考えます。
※ソース: ケータイ・複数台持ち・統計 などで検索してみてください。
複数形にする場合:
Please switch off your mobile phones when you are near the priority seats. In other areas, please set them to silent mode and refrain from talking on the phone.
ここで When を使っていることにご注目。起きる頻度が高いものに使いましたね。
優先席付近にいる人は1車両中の約10%くらいでしょうか。例えば10両編成が満員だと, 電車1編成中に200人はいることになります。頻度が非常に高いので, ここは
X If you are ...
✔︎ When you are ...
となります。あと「マナーモード」は和製英語ですので
X Manner mode
✔︎ Silent mode
どこかの空港バスだったかが Manner modeという英語を使っていました。Silent に直していただけると幸いです。
この放送の文章が作られたころは複数台持ちが一般的ではなかったかもしれません。次の放送更新時期はいつか知りませんが, 時代背景に応じて変更をするのがよかろうかと思います。
さて, ポケットWiFiやタブレットという言葉は10年前はありませんでした。近頃はどこからどこまでを, なんのために電源OFFするのか, もはやわからない状態となりました。
2 なんのための電源OFFか? かつてはケータイの電波による医療機器の誤作動を懸念し, 医療機器を装着している方に対する配慮するものでありました。いつの間にか「心臓ペースメーカーに影響する恐れがありますので」という台詞が案内から消えました。町中がWiFi電波で溢れる昨今です。
悪影響を与える周波数帯に関しては, 電磁波の専門家ではないため私は知見が少ないですが, 総務省が2013年版の「指針」をまとめています。
抜粋要約すると:
医療機器から,
・携帯電話は15 cm以上離すこと
・リーダライタ (非接触ICの読取機) は12 cm以上離すこと
・無線LAN/WiMAXについては特段規定は無いけれども,
ただし「WiMAX機器を医療機器に密着させるのは避けるべきである」
この規定に従って, 関西では2014年7月に優先席付近電源OFF→混雑時電源OFF とルールが緩和されました。(悪影響を及ぼす周波数帯を使う方式が僅少となったためらしいです)
この方針に従って, ハイパー混雑な東京の鉄道は優先席OFFを主張してもよいかもしれませんが, 名古屋 (名鉄や地下鉄) はそろそろ関西のように規制緩和されてはいかがでしょうか。
なんのために切らなければいけないか? をもし案内するとすれば, 私は次のようにします。ちょっとくどいかな。。電源切る理由が判然としない以上, 理由付けは必要かなと思って。
(対象者) (して欲しい動作) (理由) の順番。
Ladies and gentlemen, please refrain from talking on the phone anywhere on the train, not to disturb other passengers.
Also, (会社名 または we) kindly ask passengers near the priority seats to switch off your mobile phones (in crowded trains), in order not to malfunction any medical devices. Japanese governmental guidelines suggest mobile phones to be at least 15 cm (centimeters) away from any medical devices.
Thank you very much for your understanding.
"Japanese governmental guidelines suggest" としたのは苦し紛れです。指針とガイドラインは同じ? ガイドラインは拘束力が弱そうなので, require より弱い suggest をつかってみました。
法律だったらJapanese law requires (アメリカならFederal law) とかになります。飛行機搭乗時の電波については航空法で決められているので, *どこどこ* law requires all electronic devices to be turned off という表現になります。
法律屋さんで正しい違いがわかる方がいらっしゃいましたらご教示くださいませ。
使えない無線LAN
Wireless Internet connection service is available on this train between Tokyo and Shin-Osaka.
東海道新幹線で上記の自動放送が入った後に, 「通信事業者との契約が必要です, ご了承ください」と車掌が一言。車掌が一言言ったところでそれは日本語。英語では「使える」との情報が入っただけで, 契約が必要との情報は入りません。率直な感想として海外の人が抱くのは
なんや, 全然Availableちゃうやん
Oh, WiFi is far from being available on this train, except for paid services applied for in way way advance!
といったところでしょうか。座席ポケットはゴミ入れと化し, 案内は全く入っていません。
日本代表ともあるべき東海道新幹線, 公共WiFiが少ない国を代表するサービス。
アメリカの代表的な空港や, 日本でもStarbucksでは快適なWiFi環境を無料で開放してくれているのに, 少なくともスタバのコーヒー1ヶ月分 (33杯 x ¥300) ほどのお金を払って人を2時間近く閉じ込める新幹線でWiFiがつながらないなんて。Freeにすると1323人分が一気に無線通信できる容量や座席電源が確保できないからでしょうか。
サービス改善を早急に望みます。日本の顔です。無料のWiFiなんてすぐに導入できるくらい十分に儲けていらっしゃるはず。
(そもそもサービスがあまりにもひどいので, プライベート時はできるだけ東海道新幹線は利用しないで飛行機を利用するようにしています。乗りたくなくても代替手段が少ない!)
ということで付け加えて欲しいひとことは次の通り。
Please note that this WiFi service is available only for passengers who made certain contracts with service providers prior to departure.
「事前にプロバイダと契約された方のみがWiFiサービスの対象となります」
残念ですが, これが現時点での最善策でしょうか。
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