「若者の連鎖退職がどうの」という記事をYahoo!で目にしたので,
30代の転職経験者の意見を少し。。
と思ったら 少し長めの4000字になりました!
・人間関係が良好である
・給与状態も良好である
・労働時間も適正である
3つとも達成するのは難しいでしょうが, 上記条件を前提としてそれでも若者が辞めていくのであれば, 退職理由として残るのは自己実現ができるかどうか に尽きます。
バブリーな管理職よ たのむから
若者にやりたいことをやらせてあげて!
この主張を2つの観点にわけてお伝えしたいと思います。
わかってる, といって聞かない方にこそ読んでいただきたいです・・・
1. 自己実現の大切さ
2. 変わりゆく社会環境
1. 自己実現の大切さ
「これこれができるのに, なんで使ってくれないんだ!」
と僕は社会人になって6年ほど悶々としておりました。さっさとアクションを取ればよかったのだろうけれど, 6年ぶん以上の経験を積むことができ, そのうちに[売り手市場]の追い風が吹いたので 結果的には悶々としていて正解でした。
その人が思っている長所をどんどん伸ばしてあげればいい(= 自己実現) のに,
短所を伸ばして平均的な人材に育て上げようとすると様々な歪みが発生します。
平均的な人材になれば
・尖っているものも無いので転職には向かず, 長期定着が期待でき
・変わりはいくらでもいる状態が達成できるので人件費は抑えられ
企業としては管理が大変楽になるのでしょう。
そんな中で経営者側が「大企業病から脱却せよ, 個人が強くないといけない」と言い放つため, 現場との乖離が生じる結果に繋がります。個人を強くするためには 社会が必要としている, その人が得意な「これこれ」という能力をさらに伸ばしていかなければなりません。
「これこれ」はなんでも構いませんが, 僕であれば大学時代の専門に加えて
・日本人としては中の上と言っていい英語力と
・初歩的なITリテラシー(マクロを作って単純作業をある程度自動化できる)
があてはまりました。激務な中悶々としていた結果, 作業を自動化する能力が身についたので, 精神を含め, 体調を害さない限りは「過酷な環境の中に成長の種あり」といえます。
人によっては「これこれ」は
・複数言語
・達人的なIT活用
・色彩 / 音楽 / 文才 / 栄養 / 体力 / 等々・・・
様々あると思いますが, 競争に勝つために身につけたというよりは,
単に楽しいから身についた, という方が多いはず。
楽しく身につけたその能力を使わない理由が
どこにあるのでしょう!?
類型を考えると次の4つに当たるでしょうか
A・その組織では必要がない
--> その能力をどうしても使いたい・磨きたいなら20代のうちに挑戦するべきです。
待つ必要はありません。どうしてもその能力を使うことができないと自分なりに決心できればきっぱりと諦め, プロの道から外れるというのもひとつの選択肢と考えられます。
B・その組織ではまだ十分ではない
--> それならばどうか, 若者に育成のチャンスを与えてください。チャンスがないなら若い人は逃げます。
・まずは「どのレベルで必要なのか」を教える必要があるます。経験から自発的にわからせる, などといって時間をかける余裕はありません。後進国と思っていた国の人材がいつのまにか日本を追い抜いていくからです(後述)。
・その能力に優れている部分があるのであれば「いい調子だ」ということを伝える必要があります。立ち位置がわからないと不安だけが残ります。
C・その組織では必要なのに, 育てる組織力がない
--> 若者にも見極めが難しい部分です。後々必要とはわかるのにそこに至る段階と所要時間がみえなければ, 時間を浪費する結果に終わります。
僕の英語力はここに属しました。
高次的には必要とわかるのに, その状態に近づくのにあと何年かかるのか, 近づけても「その組織では十分ではない」状態だと自ら気づけば「なんでもっと早く気づけなかった!」と後悔することになります。本人・組織双方にとってこの状態は幸せではありません。
D・その組織では理解されない
--> ボタンポチっ でパソコンが勝手に処理を進めてくれる時代。パソコンとの会話が必要なので数時間〜十数時間の労力は必要ですが, これさえあれば全員の業務負荷が一気に下がるようなケースが多々あります。
こういう考え方こそ次世代にとって必要ですが, こういう考えの持ち主はそもそもIT業界へ行くので, 旧態依然業界に入ることは珍しく, 同志を3人ほど集めたいのに, 全く集まらない状況になります。
アウトプットはわかるが, 途中のブラックボックスは端から理解を諦める, との態度を特にIT分野で取られると,
適正な評価が受けられないばかりか, 将来性を悲観しなければいけない状況に陥ります。
多少曲がりくねっていてもいいが スピードが重視される時代ですよ・・・
2. 変わりゆく社会環境
対人業務はアジア諸国に持っていかれ,
自動化可能な業務は機械に仕事を取られていきます。
英語が使いたいその一心で転職をした結果, 外資という奇妙な場所に来てしまいました。そこでは
日本語達者なアジア人が,
日本ではない場所で,
本来日本人がやるべき仕事をおこなっていました。
中国語が, 英語が, その他言語が達者なアジア人をひとつの都市に集めると, アジアパシフィック・カスタマーセンターや人事・経理・・・といった管理部門が比較的低価格で作れてしまうわけですよ!!
アジア全域からみれば需要が小さく低成長な日本に資産(人, 建物)を築くよりも断然におトクなのがこの方法。日本人がやるべき人対人の, 機械代替がされにくい仕事は国外へぽいっちょ。追いやられてしまいました。
10年ほど前 大学時代の講義で学んだ大切なこと, 2点
大学時代に学んだことは人それぞれ多くあると思いますが, 少なくとも僕は次の2点を強調したく思います。
1・T型人間よりΠ(ぱい)型人間であれ
T型人間(専門が1本と, 広い一般教養を持つ人)では次の時代を生きていけない
Π型人間(専門が2本と, 広い一般教養を持つ人)であれ
複数の専門分野を深めると 分野間で掛け算ができて新しいものが生まれますが,
1本だけだと非常に弱いです。
僕自身 Π型にはなりきれていませんが, 短めの足をいくつか備え, 伸ばし続けることを目標に努力しています。(そのため?更新が減ってすみません汗)
2・日本以外のアジア人の英語力とパワー
2006年秋, まだミクシィが全盛期だった頃, 大学の一般教養にて台湾と日本との遠隔講義がありました。画面に映る台湾の2大学と日本にある僕たちの大学で積極的な意見交換を英語で求められましたが, 学生・教員を含め台湾側に圧倒されっぱなしでした。日本側もそれなりに英語を話せる人が集まっていたにもかかわらず。。
この勢いは台湾に限らず, というのは風の便りで見知っていたため
これは日本とは大きな違いだと警戒しておりました。10年以上経ち, 彼らは台湾の大学を卒業したのちアメリカなど他国大学へ留学し, 社会の一員になっていきました。
台湾企業の近年における台頭はここで語る必要はないと思います。
大学入学後, 比較的早い段階で警戒心を身につけることができました。
僕の年齢(30代) でそうであれば, 20代の人の貪欲さは想像に難くありません。
その警戒心を持った学びたい盛りの若者と、マージャン / 酒盛り / 授業サボってバイト・・・を楽しんできたバブル期の大学生が管理者として社会で対峙し, 若者が平均的な人間であれと押さえつけられるようでは 若者側にフラストレーションがたまります・・・これ, 僕だけでしょうか。
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「不要な物やプロセスは一切合切削り取ってやった」
「その時間を使ってお前たちも何か尖った存在になれ」
と言われればその組織と大人に付いていきたくなりますが,
古いプロセスが残ったまま必要性の議論すらなされず, 組織の上に立つ人に尊敬の念を抱きにくい状態で
「だまって俺の言うことを聞け」と言われ続ければ, 定着などするはずがありません!!!!!
ここ20年で初めて,
若者の人生にとって初めての好景気です。
それをチャンスと捉えないはずはありません!!
<日本にありがちな古いプロセス>
・通勤が辛いので早い電車に乗るものの, 定時出社の時間調整のためか 共用部分のベンチや近くのカフェが7時半ごろから人で埋まっている
・9時直前のエレベーターに乗るために渋滞ができる
・ 自然災害が起きました 交通機関や道路が乱れていますが出社を命じる
例) 大雪の際に24時間開店を命じたコンビニ大手のケース
ほかにも
・上司より先には帰りにくいです
・学閥重視です
・電話当番があります
・申請書を書きまくります
・スタンプラリーが終わりません
・スタンプがお辞儀します
・印刷してスタンプラリーをしたあと、pdfにして保管します(えっ
・・・・・
社会人を長くやっている人からみれば「当たり前」なのでしょうが,
社会に染まっていない,
一般目線の学生からみれば驚くことばかり。
日本社会になぜか根付くこれら風習を経験しないで済むのであれば, みんなもっと早く帰れるようになるはずです。
早く帰って, 運動でも勉強でもネットワーキングでも練習でも
各々が思う「これこれ」を身につけるのに時間を使えばいいのでは。
そうすることで個が強くなり, 経営者の求める強い組織へと生まれ変わっていくはずなのです。
社会全体のストレスが減り, 恋人探しでもしてくれれば 少子化問題にも・・・・・・は言い過ぎかもしれませんが。
・・・以上, 顔は壮年な自称若者がボヤいてみました。
外資系にきたとたん, なんだかアフター5にそよ風が吹いている感覚になるのは
よくわからない風習から解放されたことが大きいのかもしれません。
そのかわり 同僚は違う国にいるし 上司と業務の守備範囲が違うとなれば
自分がディフェンスの最終ラインで
ほかに守ってくれる人などいやしません。
5行以上メールを書いたところで 日本人以外は誰も読んでくれません。
メールが申請書の代わりです。
印刷したpdfを保存するのではなく 上司がOKと書いたメールをフォルダに保存すればよいです。
お客が「印鑑を」とおっしゃるので 印鑑を捺します。
法律で定められた重要文書以外, 電子署名ではダメでしょうか・・・・
お客が「FAX」とおっしゃるので FAXを送ります。
メールではダメでしょうか・・・・
国のいう働き方改革とはAIなどの新技術投入ではなく,
悪しき伝統を崩壊させることが根本目的のはずです。
(旗振り役の霞ヶ関が残業三昧ぽいので説得力がありませんが)
日本企業にとっても 新しいプロセスが標準となれば
間違いなく時間あたりの生産性は向上するでしょう
若者が少しでも
「自分のやりたいことができるようになった!!」
といえる状態になることを期待して
久々の投稿, 締めくくりたいと思います。。。
長文, 失礼いたしました。