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アメリカ南西部横断記 Nov'22-5 West Texas シェール革命の中心地

今日とりあげるのはアメリカのシェール革命の中心地, Permian Basinです。Basinを盆地と訳すのは何かと間違っている気がしますが・・・とりあえず,だだっ広い平原のすべてが油田関係の施設であると思っていただいていいです。リグ・貯蔵施設・パイプライン・とそれらを栄養する電線・電柱・・・。

 

地面から火

Fort Stockton を起点に北へ目を向けると, 全く別の風景が広がります。見渡す限りの平原に, ところどころ火が床から火を吹いている・・・いわゆる油田のフレアがそこらじゅうにあります。なかなかカメラ越しでは見づらいですか(残念)・・・左にふたつほど火が上がっています。肉眼で見ると赤い炎がゆらゆら揺れてて, わおってなります。

平原に乱立する電柱も見ものです・・。電気がなければ機械は動きませんからね!

油田はリグというもので掘っていきます。火を噴いているのは掘削済の穴から油を汲み出す段階にあるものなんだろうな, と勝手に解釈しています。

「稼働リグ数」とかいう経済指標で油田開発が拡大傾向か, 縮小傾向なのか分析をしている人たちが世の中にいます。道端にあるのを見てみると, 動いているもの・止まっているもの様々。

詳しくは3年ほど前に書いたこちらの記事を・・。

油田の大きさはノースダコタ(North Dakota)のバッケン(Bakken)よりもテキサスのPermianが段違いという話を聞いたことがあったので, せっかくなので油田をドライブスルー。油田地帯を走り抜けるのに2時間ほどかかったことはいうまでもありません。

「工事中」は十数 km規模

Permian Basinの地域は100年ほど前から石油開発がなされていたということで, 近年急拡大したというわけではなさそうですが, 技術革新でとれないと思っていた石油が取れるようになったというのがシェール革命のポイント。Interstateは最小でも2車線で設計されているのでいいですが, 一般国道や州道は片側1車線のところも多く, 長大な工業用の車が高速(110 km/h程度)で行き交うにはあまりにも狭いです。

工業用車も人によってはちゃんと70 mphで走ってくれます。多くは巡航65 mph(100 km超)くらい。みんな燃料代気にしてます。

こうした大事なインフラについては, 追越車線整備のため徹底的によくしていくのがアメリカの工事のやり方。工事規制がひとたび始まると, 規制は十数 kmに渡って敷かれ, 減速(55 mph; 88 km/h 程度)で路肩を走らされます。時には路面の表層を削っただけの未舗装箇所を走らされることも!

信号で交通整理した片側通行・・どこ走らすねん。

ついには1車線通行の未舗装に・・ガタガタやん。これだけ広い土地があって1車線はコク。

こういうコーンが延々と置いてあります。工事中の臨時標識は全部オレンジ色基調。

片側通行のところもあり, 信号機の待ち時間は3−5分。"Wait Time 1 Min"になってからが異常に長かった・・・。あの1分は間違いなく60秒ではない...

これが工事の完成形:合計3車線で追い越し車線が数マイルおきにやってくる感じ

El Pasoに向かう道中の映像からの抜粋ですが・・(左のFreewayが建設中で側道は工事区間)

なかなか洒落が効いててよろしいです。

"THANK YOU FOR GIVING US A BRAKE"

工事中の事故とか, ほんとうに多いんだろうなあ。ゆっくり走ってあげてくださいほんと。日は変わってTennessee州の標識ですけど子供の手書きフォントで

"Please Slow Down My Mom & Dad work here"

West Texas

NHKのニュースなどでも出てくる「原油価格」は基本的にはニューヨークで取引されるWTIというもののことで, 直接的には日本のガソリン価格とは関係ありません。普段なにげなく聞くWTIという言葉がラジオから聞こえてきました。

West Texas Intermediate

と。運転していて, なぜかサブイボが出ました。なるほど, 今運転しているここが西テキサスなんだ, Permianがどうの・シェールがどうのいう前から原油生産の中心地で, だからこそWest Texasというものが指標化され, 取引に使われていたのか・・・

当たり前のことかもしれないけれど, 運転していたそこが米国原油の中心だったことに改めて気づいたことへのサブイボだったのかもしれません。笑

石油博物館:Petroleum Museum

Midland, Texas (テキサス州・ミッドランド)という町がPermian開発の中心地のひとつのようですが, その平らで何もなさそうな街に石油博物館(Permian Basin Petroleum Museum)なるものがありました。

日曜日は午後2時開館・・ってさすが, キリスト教の町かっ!!テキサス内陸部の伝統感そこにあり, ということでしょうか。しかしまあ 展示内容は1級品。これは日本の大都市にひとつ欲しいレベルでした。

石油の退役リグを館外にドカドカと並べ・・・この博物館, (リグの数) > (見学者数)

館内は石油の利用とPermian Basinの歴史に始まり・・

「あなたが油田を掘るとしたら, どのような投資回収計画を練りますか」とゲームで体感させ(問題が出てきて失敗に終わる)

最近流行りのCO2を地中に閉じ込めるCarbon Capture & Storage (CCS)について解説し・・

「あなたの興味にあった石油業界の仕事はこれだよ」とアンケート形式で誘導し・・・

お客さんは僕と他3人ぐらい(!)で受付嬢の犬が館内を走り回っていましたが, ど田舎にはありえないレベルの博物館でした。

もう一回言わせてください・・・

あれは日本の都市にひとつ欲しいレベルの博物館だっ!!

車ではかなり行きにくい町ではありますが, ヒコーキなら。

日本からの行き方

ANA利用者ならHouston (IAH), Denver (DEN)からそれぞれUnitedとUnited Expressが,

JAL利用者ならDallas-Fort Worth (DFW)からAmerican EagleがMidland (MAF)へヒコーキを飛ばしています。興味のあられる方はぜひ。ここ, 僕は星5個つけます!

 

記事を読んで楽しいと思ってくださった方, よろしければぜひ, 読者になってください!

 

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もくじ:アメリカ南西部横断記 Nov'22

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