物騒な「テロ対策」「ゴミ箱撤去」「不審な荷物」などの語句が聞かれるようになったのはここ10年程度のことではないでしょうか。2005年ごろから増え始めたように感じます。さて, 「不審な荷物にご注意ください」についてですが, ここで学んでほしい点は4つあります。。
冠詞 (a/the)・前置詞
NOTを省略する しないで意味が変わる
Something と Anything の違い
不審物を発見したら通報してください, という文言ですが, 冠詞や前置詞の使い方を除けば神戸市営地下鉄の事例で全く問題ありません。
<訳例>
Attention passengers: If you find any suspicious package in a train or at a station, do not touch it and immediately inform a train or station attendant.
冠詞
a はどんな列車, どんな駅でも
the にすると特定の駅や列車になってしまうのでよくないです。よってa が適切。a train, a station であって, theとして限定してはいけません。
a package というのはしっくりきません。不審な物はひとつとは限りません。
どんな物でも不審であれば通報してほしいものです。よってここは any または anything とするべきだと思います。
前置詞 電車内ならin かonがよいでしょう。
NOTを省略する しない で意味が変わります
do not の部分 中学校ではdo not = don’t と習うはずです。けれど聞こえてくるニュアンスが異なります。NOT という否定語は省略しない方が強く聞こえます。Don’tよりDO NOTの方がよっぽどキツイ。禁止する感じがちゃんとでてきます。Don’t は子供さん相手またはシリアスな禁止でない場合に使ってもよいかと思います。
「不審物を触らない」というのは十分にシリアスですので, 神戸の事例のように do not と分けて表すのが適切です。
2.5.2で尋ねたキャッチコピー (たった6語で不審物通報願い) の答え:
すごく上手い表現をニューヨークからもってきました。
IF YOU SEE SOMETHING, SAY SOMETHING. (TM)
[何か見たら 何か言って]
NYCの表現が上手いので, 米国国土安全保障省 (Department of Homeland Security) が全米キャンペーンのキャッチコピーとして使用しています。(同省によってトレードマーク化されています)
Something と Anything の違い
ここでこれが気になったと思います。
something と anything って何が違うの!!!!
If you see ***
***の部分に何を入れるかによって意味が変わってきます。
A) anythingとすると, 「見たものなんでも」(怪しくなくても)通報してほしいことになります。
B) anything suspicious なら 「怪しいものなんでも」
C) something なら「何か (みつけたら)」
D) something suspicious なら「怪しいものなら何か」(怪しくても, 通報されない怪しいものが存在してしまいます)
この場合に適するのは B または C となりませんか?
よって, 神戸の事例のB, NYCの事例のCが適することになります。
いかがでしたでしょうか?
次は2.5.3 「足元にご注意ください」についてです。
↓次の記事へ↓
↓目次へもどる↓