日能研の車内広告。
いつも楽しみにしているのですが, 今回のこれは内容としてはどうなんだろうと思い, 考えをしたためてみます。
「下の表は日本に居住している外国人(在留外国人)の数を都道府県別にまとめたものである。
この表からわかる社会問題についてあなたの考えを述べなさい。」
という問題とともに, 都道府県別の外国人数が47都道府県すべてずら〜っとかかれています。
「社会問題」
という言葉にすごくひっかかるのは僕だけでしょうか?
出題者がすでに「外国人がこれだけいることは社会問題だ」と定義してしまっています。
数の変化 (多くなったとか, 少なくなったとか) については書かれていません。これだけの外国人がいるのだ, ということが社会問題だと定義した上で, 小学生に考えを述べさせています。県別の総人口が書かれているわけではないので, 外国人率はわかりませんが, 知識で補うとして,「愛知県や静岡県など, 工場が多数立地する県で外国人人口比率が高い」を導くことはできますが…
外国人がいることが, なぜ社会問題なのでしょう!!
出題者の意図としては
・若年人口が減少し, 労働力の確保のために外国人を起用しなければいけないこと
・ものづくりが盛んな地域において, その傾向が顕著
・日本語だけの役所サービスでは住民ニーズを満たさない可能性があり, 対応を実際に行うならばコスト増要因となる
…あたりを社会問題として書けていたら正解としたいのかもしれませんが, 少し出題者の聞き方が雑すぎると感じるのは私だけでしょうか?少ないスペースに問題を詰め込まなければいけなかった事情はお察ししますが。
・純粋な日本人が周りの大多数を占めていることがあるべきすがたで, そこに外国人が数万人在留外国人として登録していることは, はたして社会問題なのか……?
考えたことを書きなさいといわれれば, 僕の回答は次の通り:
・日本人は世界的にみられる人種差別問題に疎すぎること, これは社会問題である
・出題者のように, これは社会問題だ!と決めつけてしまうこと これも社会問題である
学習院の教諭の文章なのか,
日能研が改題した表現なのかはわかりかねますが, 人種差別を想起させる問題が公に宣伝として広告が貼り出されてしまうのはどうなんだろう。
・広告の斡旋をする会社
・広告掲載を承認した鉄道会社
いずれにしてもグローバル感覚を欠いていると批判せざるをえません。移民が増えて問題だあと騒いでいるヨーロッパやアメリカの一部の住民と同じレベルの議論になってしまいます。
それらと同列でいていいのか?
少なくとも広告には 「他国国民との調和」「グローバル化」などといったことを考えるきっかけを与えるのがいいのでは。。。
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外国人が家を借りるときには, 公然と断る家主がいると聞きます。
保証人が必要なところ, 日本に身寄りの無い留学生が困り果てていたことも思い出しました。
アメリカの広告にはこのような言葉が聞かれます。
XX is an equal housing lender
XX is an equal opportunity employer
人種差別なく住宅を貸す業者です。
人種差別なく雇用します。
といった意味あいです。
かなりデリケートな話題ではありますが, 国際感覚が欠けやすくガラパゴス化しやすい国だからこそ, 再認識のお役に立てたらなと思いつつ この記事を締めくくらせていただきます。。