オリジナルはドイツ語のO Tannenbaum (おータネンバウム) で, ドイツ語を英語に訳したものがO Christmas Treeです。ドイツ語の歌詞はひとつふたつしか見つからないのですが, その訳によって英語のO Christmas Treeには数えきれないほどのバージョンができてしまいました。アメリカのクリスマスソングのアルバムにもドイツ語で収録されているほどです。
ドイツ語の歌詞を解説する記事になってしまいました・・・独検3級の実力で偉そうにかけるものはあまりないのですが・・・日本語ではおなじみの「♪: もみの木, もみの木〜」です。
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日本語の「もみの木」 各国語の歌詞の意味は大体これで取れるのではと思います・・
アメリカでよく聞こえてきた"How ever green your branches" バージョン
ドイツ語のオリジナルバージョンはこちらです。
ドイツ語版1番
ドイツ語のバージョンはひとつだけ。英語訳のしかたには数多くの方法があるようです。
O Tannenbaum, O Tannenbaum (オー タンネバウム オー タンネバウム)
Wie treu (grün) sind deine Blätter! (ヴィー トロイ ジン ダイネ ブレター)
Du grünst nicht nur zur Sommerzeit, (ドゥ グリュンス ニヒ ヌアー ツァ ゾマツァイ)
Nein, auch im Winter, wenn es schneit. (ナイン アオ イン ヴィンタ ヴェネ シュナイ)
O Tannenbaum, o Tannenbaum,
Wie treu sind deine Blätter!
Tannenbaum
英語: Fir tree / 日本語: 樅(もみ)の木
次の写真にあるような, クリスマスツリーにふさわしい三角形を誇る木のこと
太字の3行を英語に直訳すれば
How loyal your leaves are(その葉はずっと変わらない)
You are green not only in the summertime (緑なのは夏のときだけでなく)
No, also in winter when it snows(冬に雪が降るときでも変わらない)
単語
treu: loyal / 忠実; 意味が通じにくいtreu が grün (みどり)に置き換わっているバージョンもあります。
Blätter: leaves / 葉っぱ
grünst: green (動詞, ドイツ語二人称のduに対応して動詞grünen が活用して語尾がst) / 青々とする
英語版1番
Evergreen 版
ずっと緑で変わらない、一貫性を訳し出すのに"Evergreen"という英語がぴったりです。なのでEvergreen バージョンでは次のような歌詞がつけられています
O Christmas tree, O Christmas tree
How evergreen your branches
They're green when summer days are bright
They're green when winter snow is white
O Christmas tree, O Christmas tree
How evergreen your branches
Lovely 版
太字の3行だけ
How lovely are your (thy) branches
In beauty green will always grow
Through summer sun and winter snow.
your の古語であるthy に置き換えたものもみられます (thou の活用: thou-thy-thee-thine)。
ここで元のドイツ語版にないlovely という歌詞が登場しだすと,
"I love your green, green branches"
と歌ってみたり,
"Of all the trees most lovely"
と歌ってみたり。色々様々・・・。YouTubeでは英語版について実に様々な動画が上がっていますのでご参照ください。(Wikipedia に上がっている英語歌詞もまた別物です)
ドイツ語歌詞2番
O Tannenbaum, o Tannenbaum,
Du kannst mir sehr gefallen! (ドゥ カンス ミア ゼア ゲファレン)
Wie oft hat nicht zur Weihnachtszeit (ヴィ オフ ハッ ニーヒ ツァ ヴァイナハツァイ)
Ein Baum von dir mich hoch erfreut! (アイン バウム フォン ディア ミヒ ホハフロイ)
O Tannenbaum, o Tannenbaum,
Du kannst mir sehr gefallen!
文意をそのまま英語に訳すと・・
You can please us very much(もみの木は僕たちをよく喜ばせてくれます)
How often has, not only at Christmas time, (クリスマスのときだけではなくいろんなときに)
A tree like you delighted us(僕たちを喜ばせてくれます)
der Baum (ばうむ, 男性名詞) は「木」です。バウムクーヘンは木の年輪の形をしたケーキですので覚えやすい単語かと・・・。
erfreuen と gefallen (動詞) はいずれも喜ばせる, please / enjoy / delight / make people happy の意味で使われています。hoch は「highly, extremely, めっちゃ」です。hoch erfreut と2語で表記されているサイトが多くありましたので, わけました。1語で表記されている場合もあります。
ドイツ語歌詞3番
O Tannenbaum, o Tannenbaum,
Dein Kleid will mich was lehren: (ダイン クライ ヴィル ミヒ ヴァス レーレン)
Die Hoffnung und Beständigkeit (ディーホフヌンク ウーント べシュテンディヒカイ)
Gibt Trost und Kraft zu jeder Zeit! (ギプ トロス ウン クラーフ ツー イェーダー ツァイ)
O Tannenbaum, o Tannenbaum,
Dein Kleid will mich was lehren!
3番の太字3行については次の英語と対応させてありますので, 大体の名詞の意味は掴んでいただけるかと思います。
Your dress will make me learn
The hope and persistence
Give trust and strength at any time
時代背景
1番は1819年ごろに書かれた詞, 2番と3番は1824年に書かれたものだそうです。「一貫していることが美徳」と国民に語りかける必要性が19世紀初頭の「ドイツ」にはあったのでしょうか。
樅の木が夏でも冬でも変わらずあおくあり続ける様から「希望」「一貫性」を感じ「信頼」や「強さ」を感じ取れる・・・というのはなかなかの詞です。すごく不景気だったか, 人々が寄り添うものを探していたのか・・Wikipediaによれば, 不景気とは言わないまでも, あらゆる変化が一段落してから, 1830年代から始まる産業革命の間の狭間のタイミングだったようで。音楽という文化を楽しむだけの平和な時間があった, ということなのでしょう。
いつの時代も人は「不変」を求めるものなのですね。残念ながら変化のスピードは超絶早くなってしまいましたね。若い世代に求められるのは柔軟な対応力です。頑張りましょう・・・
へぇって思っていただけた方, ぜひ読者になってください!
いつも読みにきてくださる方, ほんとうにありがとうございます!
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