「AI やら IoTやらの時代に英語の勉強は不要だ、違うことするのに時間を使え、なぜなら翻訳などそのうち機械が代替してくれるからだ」
なんだか期待が少し含まれた論が友人の発言のコメント欄を埋めました。ほんとうに別言語の勉強は不要になるのでしょうか・・?
この論にも一理と思います。簡単な会話であれば機械を通訳がわりに使い、時間をかけながら会話すれば大きな問題はありません。駅や道の案内、ホテルのチェックイン業務などは簡単な英語が用いられますので機械による代替もたやすくおこなえます。
し・か・し。現在英語を勉強しようとしている子供たちをミスリードしてはいけません。機械に期待を寄せすぎです。申し訳ないですが, これらは英語の勉強がきらいだったか, 勉強にかける時間や金銭面などの費用と効果とが見合いが感じられなかった大人の方々の遠吠えにしか聞こえません。
以前も書きましたが大学時代の講義で「あなたがたはT型人間ではなく、Π(ぱい)型人間を目指しなさい」というのがありました。横棒は教養的な知識、縦棒は専門性です。僕は化学の学生でしたので, 教授のこの発言は「同じ化学の研究者を目指すなら2つ以上の専門性をもって差別化せよ, 最初はあらゆるものに興味を示し, 興味あるものを深く掘り下げよ」というのが趣旨だったのですが, これは今の時代には特に有効な考え方です。
日常生活で使う日本語のうち, どういったものが機械に代替できない会話か, どういった会話を機械にさせたくないかを考えてみれば, 何のために英語を学ぶべきかがすぐ分かります。
縦棒が「簡単な語学だけ」なT型
難易度が低く, なり手が多いと思われる層がこれです。これに該当する人数が多いとこれだと簡単な語学が機械におきかわり, 人材としては代替されやすく雇用は不安。 雇用されても低賃金かつ長時間労働となってしまいます。不安になる方も多いので, ネットを賑わせるネタにもなりがちなのでしょう。
縦棒が「思いっきり深い語学」なT型
これはなり手は少ないが, 機械では代替できないと思います。同時通訳, 映画の字幕作成者・吹替訳作成者,.... など。
例を考えてみましょう。映画の封切りと同時に映画館へ行き, 翻訳機械をもっていけば, 時間差で変な日本語訳が聞けるでしょう。ちんぷんかんぷんとなって, 翻訳機械に文句をつけて映画館を後にすることになるでしょう。
AIなので封切りから時間が経てば, 多少は学習してくれるでしょう。1ヶ月ほど経ってから同じ映画をみると, 多少はいい日本語訳を聞かせてくれるかもしれません。
字幕屋さん・吹替訳屋さん。それぞれの深い深い語学力と幅広い周辺知識があってこそ映画がなりたっています。映画館ではいつも, そのすてきな訳に脱帽して帰っています。英語で理解しながら, 字幕に感動して二度おいしい・・
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「英語を使って専門性を活かす」Π型
例えば新製品開発をやるような場合(ものづくり屋)、なにかの国際大型案件に応札する場合(商社やゼネコンなど)、国際商談をまとめるような場合(海外調達や販売など)を考えてみましょう。
あなたの脇にはAI翻訳機を同行させますか、どうですか。
1・翻訳のため、機械に商談内容を聞かせたいですか?
2・機械に翻訳させている相手にものを売りたいですか, またそのような人からものを買いたいですか。
秘密の垂れ流し
ひとつめ。秘密がリークします。機械に聞かれた瞬間に秘密がハッカーに漏れたと考えるべきです。夫婦の何気ない会話をスマートフォンが聞いていて, SNSを開いたら, その会話に出てた事柄に関する広告が表示されていた・・・これはもはや都市伝説ではありません。これが嫌とおっしゃる方はいますぐスマホの設定でマイクをオフにしましょう。音声入力という便利さをそのSNS内だけで失う結果にはなりますが, まぁ何気ない会話を他人に聞かれるというのは良い気がしないものです。
その機械はほんとうに信用できるのか?
信用できない機械は商談へ同行させられませんよね。もっとも自分たちが優秀な道具として信用していても, 商談相手がその機械を信用してくれないでしょう。
翻訳サイト
「(企業間のメールなどで)英語が苦手だから翻訳サイトに全てをぶち込んだ」
結果「翻訳サイト側へ秘密がリークした」
これは実際に他社で起こり, 注意喚起がなされた事例です。秘密がリークしないと保証を受けた翻訳サイトを独自に作ってもらうなど企業が翻訳サイト側と契約するなどしなければ, 秘密の垂れ流しが発生します。「翻訳が苦手なのだ」と平然とおっしゃる方は, 翻訳サイトに秘密を垂れ流す結果となり, 所属企業から大型のペナルティを食らう結果にもなります(1ストライクにカウントされるか, 酷い場合は一発クビです)。
機械との付き合い方をよくよく考える必要がありそうです。ツイートに思いの丈を述べたり, FacebookやInstagramに自己表現をどんどんやるのは大変結構なこと。相手が人間である場合よりも簡単に, 配慮なく言葉を伝えることができるというのは機械への過剰な信用を生んでしまいます。
機械の裏にはたくさんの仕掛けがつくられています。機械への過剰な信用が, クビ, いや「自己都合退職追い込まれ」の原因にならないように祈っておきます!!
、、、というわけで。
「英語を使う職業は機械によって代替されるため我々が英語を勉強するのはもう古い」というご意見については真っ向から否定しましょう。
国際社会に生きたい方は今まで以上に勉強してください。
いらない、つまらなさそうということであれば勉強しない方がいいです。中途半端が一番もったいないです!
専門が2個以上あるΠ型人間を目指し, 英語というツールを使いこなせると, おそらく国際社会では生きていくことが可能です。給与所得を同世代の平均以上にすることが可能です。
給与所得で生きるのであれば, 簡単に代替されそうな職業は目指さないことをおすすめします!